以前、沖縄県南風原町に、ウルトラマンの聖地である金城哲夫資料館(金城哲夫さんの生家)があることを、”沖縄アニメ聖地まとめ”に書きました。
そこで今回は、ウルトラマン初期を支えた金城哲夫さんが脚本を書いたウルトラセブン第42話”ノンマルトの使者”のすごさについて書いていきます。
”ノンマルトの使者”の概要
“ノンマルトの使者”はウルトラセブンの中でも名作と言われていて、ウルトラファンではない私のところにも、その噂は届いてくるほどです。
その内容は、海底開発を進める地球人であるウルトラ警備隊(モロボシ・ダンは地球人ではないけれど)と、(地球の先住民の!?)海底人ノンマルトとの戦いとなっています。
ちなみに、ノンマルトの見た目はやや海底に適応して進化したようなビジュアルになっています。

“ノンマルトの使者”のあらすじ
物語の冒頭では、人類が海底を人類が住める場所にする開発が描かれます。
次に、謎の少年真市(しんいち)が、海底開発を進めると大変なことになる、海底人ノンマルトが怒ると言います。
その後、ノンマルトは海底人であり、地球の先住民であると説明。
つまり、現在の地球人はかつて先住民であるノンマルトの住む地球を侵略し、ノンマルトを海底に追いやり、今度は海底からも追いやろうとするという筋書きとなっています。
タイトルの”ノンマルトの使者”は真市のことであり、真市はノンマルトのメッセージを伝える役割となっています。果たして、そのメッセージがすべて本当のこととは断定されていません。ナレーションでも、「二年前。この海で死んだ少年の魂が、ノンマルトの使いになってやって来たのでしょうか?それにしても、ノンマルトが本当に地球の先住民だったかはどうか、それは、全てが消滅してしまった今、永遠の謎となってしまったのです。」と語られています。
実際に真一と直接話したダン(ウルトラセブン)は「(真市君の言ったとおり、ノンマルトが地球の先住民なら、もし、人間が地球の侵略者だとしたら…)」と自身の活動に疑問が浮かんだような胸中を吐露している。
設定のモチーフについて
金城さんが沖縄の出身なので、沖縄と本土の関係の比喩と思われがちですが(私もはじめそう思いました)、そうではないようです。
もっと一般的な、善悪逆転の可能性の示唆が発想の原点であったようです。
また、話の後半で出てくるウルトラ警備隊のキリヤマ隊長のセリフにはドキッとします。
キリヤマ「ウルトラ警備隊全員に告ぐ!ノンマルトの海底都市は完全に粉砕した!我々の勝利だ!海底も我々人間のものだ‼︎これで再び海底開発の邪魔をする者はいないだろう‼︎」
キリヤマ自身も無意識に地球人が侵略者だという可能性を感じているようにも聞こえます。
このドキッとする可能性を1話だけで突きつけてくるとても面白い作品でした。
まとめ・その他
今回は、ウルトラセブン第42話”ノンマルトの使者”のすごさについて書きました。
現場の地球人が実は先住民のノンマルトを追いやった侵略者である可能性が浮かび上がり、地球を守るウルトラセブンやウルトラ警備隊の一部に活動への疑問のタネが生まれるエピソードとなっていました。
たった1話でウルトラセブンやウルトラマンの世界観を揺るがしかねない内容だと思われるので、ウルトラファン出なくとも、見て損はないエピソードだと思います。
調べていると、『ウルトラセブン1999最終章6部作』第6話「わたしは地球人」がこの話の続編となっていることがわかった。こちらもいずれぜひ見てみたいです!
また、2018年1月1日に放送されたテレビ番組『ウルトラ怪獣散歩』第32話「ノンマルトのシーサー」にて、ウルトラ怪獣達が沖縄県北谷町を訪問したようです。今はなきアメリカンビレッジの観覧車と写っている写真もありました。

おしまい

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